ナースX『コード・ブルー』で描かれるような飛行機事故やトンネル火災。
そこで搬送されてくる患者さんの中には、火傷は軽傷でも、なぜか意識が戻らないケースがあります。
その原因は「煙」。特に、現代の火災現場で恐れられているのが、一酸化炭素(CO)と並ぶ猛毒「シアン(青酸)」です。
今回は、サスペンスドラマの毒殺だけでなく、実は身近な火災現場に潜む「シアン中毒」の恐怖と、救命ナースの対応を回診します。
この記事の結論(カルテ)
- シアン(Cyan)とは: いわゆる青酸カリの成分。現代では化学繊維やプラスチックが燃焼することで「シアン化水素ガス」として発生する。
- なぜ危険?: 細胞が酸素を使えなくなり(細胞内窒息)、短時間で死に至る。一酸化炭素中毒と併発しやすい。
- 症状: 意識障害、痙攣、代謝性アシドーシス(乳酸値の上昇)。
- 特効薬: 「ヒドロキソコバラミン(シアノキット)」。赤色の点滴製剤。
- 教訓: 火災現場からの搬送で、意識レベルが悪ければ迷わずシアン中毒を疑え。
問診室:アーモンド臭なんてしない?シアンの誤解





お疲れ様、ゆめこちゃん。今日は救命の勉強?
はい! 『コード・ブルー』の映画版みたいなトンネル事故や火災のシーンを見てて思ったんですけど、「煙を吸った」ってだけで、なんであんなに急変するんですか? 息苦しいだけじゃないんですか?



煙はただの煤(すす)じゃないからね。現代の建物や車にはプラスチックがたくさん使われているだろう? それが燃えると猛毒の「シアンガス」が発生するんだ。
シアンって…サスペンスドラマでよく出る「アーモンドの匂いがする」ってやつですか?



それはよくある誤解だね。実際の現場は焦げ臭すぎて、アーモンド臭なんて分からないことがほとんどだ。だからこそ「匂いで判断」じゃなく「状況で疑う」ことが重要なんだよ。
回診記録:モニターには映らない「細胞の窒息」


症例1:SpO2は正常なのに…





シアン中毒の怖いところは、パルスオキシメーター(SpO2)では発見できないことだ。酸素は血液中に十分あるのに、細胞がそれを取り込めなくなってしまうんだ。
えっ、じゃあモニター上は「酸素100%」なのに、体の中は酸欠で死にかけてるってことですか!? 怖すぎます…。



そう。これを「細胞内窒息」と言うんだ。だから、火災現場から搬送された患者さんが、酸素投与しても意識が戻らない場合は、すぐにシアン中毒を疑って「解毒剤」を準備しなきゃいけない。
症例2:赤い特効薬「シアノキット」





そこで登場するのが、救命の切り札「シアノキット(ヒドロキソコバラミン)」だ。見た目は真っ赤な液体で、これを投与すると劇的に改善することがある。
あの赤い点滴ですね! 藍沢先生たちが迅速に指示を出すシーンが目に浮かびます。私たちナースも、スムーズに投与できるように準備しておかないといけませんね。
※ここから先は、医療ドラマの感想ではなく、実際に看護師として働く立場で一度ちゃんと考えてみたい人向けの話になります。
【本日の処方箋】煙害(吸入損傷)への初期対応
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火災現場からの搬送患者を受け入れる際、ナースは「火傷の処置」に目を奪われがちですが、命を奪うのは「気道の浮腫」と「中毒」です。
対策:シアン中毒を見抜く3つのサイン
- 鼻毛や口元の煤(すす)
顔が黒く汚れている、鼻毛が焦げている場合は、高確率で有毒ガスを吸い込んでいます。気道熱傷による窒息リスクも同時に警戒してください。 - 原因不明の代謝性アシドーシス
血液ガス分析で、乳酸値(Lactate)が異常に高い場合はシアン中毒を強く疑います。 - 閉鎖空間での火災
「部屋の中で燃えていた」「車の中で発見された」という情報は重要です。換気の悪い場所での火災は、シアン濃度が高くなります。
💡ナースXのワンポイント・メモ
解毒剤「シアノキット」を投与すると、患者さんの尿がワインのような赤色になります。これは薬の色であり血尿ではありません。
知っておかないと、「血尿が出た!腎損傷だ!」とパニックになってしまうので、必ず覚えておきましょう。



火災現場は、熱だけじゃなく「毒」との戦いでもあるんだ。知識があれば、見えない毒から患者さんを守れるよ。
はい! 匂いがしなくても疑うこと、そして赤いおしっこに驚かないこと。しっかりメモしておきます!
(でも、焼き肉の煙はいい匂いですよね…)



それは平和な煙だね(笑)。
「特殊な薬剤の知識なんて、今の職場じゃ使わないし…」


ルーチンワークばかりで、看護師としての知識や技術が錆びついていくのを感じていませんか?
世の中には、あなたの「学びたい意欲」を評価し、専門スキルを磨ける「高度救命救急センター」や「災害拠点病院」もたくさんあります。
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「今の職場が普通かどうか」を知るだけでもOK。



火災現場の煙は、ただ息苦しいだけではありません。「見えない毒」に気づけるのは、現場で患者さんを一番近くで観察しているあなたです。
正しい知識で、防げる死を食い止めましょう。
みなさんは現場で「珍しい解毒剤」や「特殊な薬剤」を使った経験はありますか?
「マムシ咬傷の血清を使った!」とか「農薬中毒の洗浄が大変だった…」など、教科書でしか見ないようなレア症例エピソードをこっそり教えてください!
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この記事は、フジテレビ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』公式サイト、FOD(配信サイト)等の発信情報を参考にし、当サイトのコンテンツ制作ポリシーに則り作成しています。
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