ナースX「死ぬかもしれないと分かっていて、それでも産みたいと言われたら?」
『コウノドリ』シーズン2・第3話。中村ゆりさんが演じた山崎麗子は、肺高血圧症(PH)という、出産が命に直結する重い持病を抱えていました。
医療者が「諦めてください」と告げるのは、冷酷だからではありません。母体の命を守るための、苦渋の決断です。
今回は、中村ゆりさんの熱演を振り返りながら、現場のナースが直面する「意思決定支援」の難しさと、キャリアの葛藤について回診します。
この記事の結論(カルテ)
- 対象症例: 肺高血圧症(アイゼンメンジャー症候群)合併妊娠。
- リスク: 出産時および産後に心不全・肺高血圧クライシスを起こす確率が極めて高く、母体死亡率も非常に高い(25%〜50%とも言われる)。
- ドラマの葛藤: 中村ゆり演じる麗子が、リスクを承知で「この子に会いたい」と突き進む姿に、サクラ(綾野剛)や四宮(星野源)も激しく苦悩する。
- 看護の真髄: 「説得」ではなく「納得」を支えること。医学的な正解と、患者の幸福のギャップを埋めるのがナースの役割。
問診室:医学の『正義』が患者を傷つける時





お疲れ様、ゆめこちゃん。今日は循環器か産科の勉強会?



ひかる先輩…。『コウノドリ』の中村ゆりさんの回を見て、寝不足です。肺高血圧症の妊婦さんが、「私の命はどうなってもいいから」って言うシーン、見ていて本当に辛くて。医者が中絶を勧める理由もわかるけど、彼女の『今度こそ産みたい』っていう想いも無視できないですよね。



肺高血圧症(PH)合併妊娠は、僕ら医療従事者にとっても「最悪のシナリオ」を想定せざるを得ない症例だからね。母体が亡くなるかもしれないと分かっていて、それを手伝うことになるかもしれない…その恐怖と、ナースは戦わなきゃいけないんだ。



麗子さんが「先生、助けてなんて言わない。ただ、産ませて」って。あの覚悟を目の前にして、私たちはどう寄り添えばいいんでしょうか。
回診記録:『意思決定支援』という名の荒波


症例1:中村ゆりが見せた「母親の執念」





中村ゆりさんの演技は凄まじかったね。持病のせいで日常生活すら制限されているのに、お腹の子のためなら何でも耐える。あの「執念」を、わがままだと切り捨てられる人は誰もいないはずだ。



サクラ先生も四宮先生も、最後は彼女の意思を尊重して全力でサポートしました。でも、もしものことがあったら…って考えると、モニターを見守るナースの手も震えますよね。
症例2:ナースが担う『翻訳機』の役割





医師はリスクを数字で話す。「死ぬ確率が◯%ある」。でも、患者は感情で話す。ナースはその間に立って、患者の不安を医師に伝え、医師の懸念を患者が受け入れられる言葉に翻訳する。この『翻訳』が、意思決定支援の要なんだ。



患者さんが言葉にできない不安や、命をかけてでも守りたい想いを汲み取って、医療チームに正しく繋ぐ。それってすごく難しそうですけど、看護師だからこそできる、最高にクリエイティブな仕事ですね。
※ここから先は、医療ドラマの感想ではなく、実際に看護師として働く立場で一度ちゃんと考えてみたい人向けの話になります。
【本日の処方箋】「価値観の衝突」に疲れたあなたへ





重症患者や高リスク症例が続く現場では、ナース自身が精神的に疲弊(共感疲労)し、自分の看護に自信をなくしてしまうことがあります。そんな時のための処方箋です。
対策:『答えのない問い』と向き合うコツ
- 「自分ならどうするか」を切り離す
患者の選択が自分の倫理観と違っても、それを否定しない。「彼女にとっては、これが正解なんだ」と受容することで、無駄な葛藤を減らせます。 - ケアのプロセスを肯定する
結果がどうあれ、あなたが麗子さんの不安を聴き、手を握ったという事実は変わりません。「救えなかった」ではなく「支え抜いた」ことに目を向けましょう。 - 専門性の高いチームに相談する
一人で抱えるのは限界があります。倫理カンファレンスなどを開き、チーム全体で「どう支えるか」を共有しましょう。 [cite: 2025-09-18]
💡ナースXのワンポイント・メモ
肺高血圧症合併妊娠の管理は、産科・循環器科・麻酔科・NICUの密な連携が不可欠です。
こうした超高リスク症例の看護経験は、他のどの現場でも通用する「高度なアセスメント能力」としてあなたのキャリアに刻まれます。



麗子さんが無事に出産し、家族と過ごせたことは一つの『奇跡』だ。でも、その奇跡の裏には、ナースたちの眠れない夜があったことを、僕は忘れたくないな。



はい。私も、患者さんが命がけで下した決断を、最後まで信じて守り抜けるナースになりたいです。



その優しさと覚悟があれば、きっと大丈夫。明日も頑張ろう。
「高リスク現場のプレッシャーに心が折れそう…」


「今の職場では、患者さん一人ひとりとじっくり向き合えない…」
命の重みに向き合いすぎて、あなた自身がすり減っていませんか?
世の中には、あなたの高度な経験を活かしつつ、もう少し落ち着いた環境で「意思決定支援」に関われる場所もあります。
無理をして倒れる前に、あなたの経験が最も輝く『新しいステージ』を探してみませんか?



産科やNICUのような最前線で培った『判断力』と『共感力』は、看護師として一生モノの武器だよ。もし今の環境が辛いなら、それは君の能力不足じゃなくて、少し休息が必要なだけ。
君のその素晴らしいスキルを、もっと違う形で、もっと長く活かせる場所は必ずあるからね。
\ 高い専門性を活かしたキャリア相談 /
※今すぐ転職する必要はありません。
「今の職場が普通かどうか」を知るだけでもOK。



中村ゆりさんが演じた麗子さんの物語は、私たちに「生きることの尊さ」を教えてくれました。
患者さんの人生を支えるあなた自身の人生も、同じくらい大切にしてくださいね。
それでは、また次のカンファレンスでお会いしましょう。



みなさんは「患者さんの選択」に納得がいかず、モヤモヤした経験はありますか?
「本当はこうしてほしいのに…」という医療者としてのジレンマ、こっそり教えてください。
下の「ナースXへの直通ポスト」から待ってます!
※明日から行かなくていい。とにかく心と体を休ませることが優先と感じている方。
\ とにかく仕事を辞めたい/
「職場の人間関係がツライ…」「ドラマのあのシーン、どう思った?」など、誰にも言えない本音をナースXとひかる先輩に送ってみませんか?
いただいた相談は、ブログ内で回答させていただくことがあります(匿名でOK!)。
この記事は、TBSドラマ『コウノドリ』公式サイト,参考:日本循環器学会「肺高血圧症治療ガイドライン」等の発信情報を参考にし、当サイトのコンテンツ制作ポリシーに則り作成しています。
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